【現代文演習のすゝめ】vol.9

この度は受験の専門家・アクシス様より、『大学入学共通テスト』に大いに関係するアドバイスをいただきましたのでご紹介します。
「大学入試はまだまだ先」と思っている小中学生の保護者の方にこそ、読んでいただきたいテーマですよ。

【現代文演習のすゝめ】

さて、定期試験も終わり、そろそろ入試が近づいてきました。
今回、塾からの視点でおすすめしておきたいのは、『現代文の練習(演習)』です。アクシスの各校への受講希望は英語・数学が多いのですが、数ある教科・科目の中でも後回しにされてしまう傾向のある『現代文』について、そしてそれが(後回しにしてしまうことが)とても『もったいない』ということについてお話したいと思います。

中・小学生の保護者の方であれば少し先の話にはなるのですが、2021年度から『大学入試センター試験』が『大学入学共通テスト』へ変更されたことは皆さんご存じだと思います。その変更に際してのテーマ・目的をシンプルに言ってしまえば、『知識から思考力へ』ということになります。これまでの「知っていますか?」から「その知識を基にどう考えますか?」という、かなり大がかりな変更ですね。
その中でも、ここ数回の(新傾向で対策が難しかったであろう)共通テストを難なく乗り越えていた人達(学年で言えば今の大学3~1年生)はどんな準備をしていたのでしょうか?
色々な分析がありましたが、その中でも一つの傾向として、それまでの模試で『現代文を安定して得点できていた人達はその他の科目についても本番で大きく外していない』というものがありました。(但しこれは経験則的なものであり、しっかりとしたエビデンス的なものに基づいている訳ではありませんので、そこはご容赦ください。)
その上で今回はこの『現代文演習』について話を進めて参りたいと思います。

まず直接的には、論理的な『思考力』を身に付ける手段として『現代文演習』ほど有効なものはありません。これは国語の点数アップだけでなく、これからの高校入試や中学入試でも求められる『思考力・読解力』のトレーニングとしても非常に有効です。

また『現代文』は『全ての教科・科目の中でも最も取り掛かり易い』科目ではないでしょうか。入試レベルの演習に辿り着くまでに他の科目のような『科目ごとの予備知識的なもの』を求められる部分がとても少ないのです。

そしてここが重要なのですが、実際に取り組んでみると現代文の演習には『集中力』が求められます。(先ほど最も取り掛かり易いと言っておきながら!と思われるかもしれませんが、それは知識的な領域が少ないという意味で捉えておいてください。)
現代文の演習はそのまま『論理』ですので、『知識の記憶を取り出す』場合と脳の使う領域がかなり異なります。脳の話になるとこれがまた長くなってしまいますのでここでは割愛しておきます。
またスポーツや音楽をされている方はイメージし易いと思うのですが、どのような状況や環境であっても瞬間的に『集中力を引き出せるかどうか』は、その人の運動神経や音感と同程度か、またはそれ以上に重要な力になってきます。大人であっても『集中しているかどうか』で自分自身のパフォーマンスが大きく変化してしまうことを実感することがあるかと思います。ましてや成長過程にある子供のそれは個人差も非常に大きく、『トレーニング』次第で大きく変わってきます。
そしてこの『集中力のスイッチを養うトレーニング』として、『現代文の演習』はとても有効なのです。これが最大のメリットなのかも知れません。

あとよくある質問についてお答えしておきますと、『説明的文章』と『文学的文章』のバランスは同程度が良いかと思います。これについてはまた別の機会に。
そしてこの演習の開始時期的なものとしては、中学生であれば中学1年生の夏休み辺りからでも市販の標準的な問題集を始めてみるのも悪くありません。悪くない、というのはやはりこればかりは本人が思い立った時がその最高のタイミングになります。また現代文という科目は 『習うよりも慣れろ』でとりあえずご家庭で始めても大丈夫です。中1までならまだ親の言うこともなんとか聞いてくれそうですね(個人差がかなりあると思いますが)。ただし慣れてない場合はストレスになると思うので、論理パズル的な易しいものから始めると軌道に乗せ易いと思います。
小学生の受験生であればきっとお通いの塾でかなりの演習を国語だけでなく算数でもこなしていると思いますので、それ以上増やさなくて大丈夫です。

という訳で今回は『現代文演習のすゝめ』というテーマでお話をさせていただきました。
中学生以降になると主要科目が英語・数学となりがちですが、保護者の皆さん、最近の『共通テスト』の各科目を一度見てみてください。初見であれば、かなりの変化とその読ませる量にきっと驚かれると思います。『共通一次』が約10年間、『センター試験』が約30年間、続いてから変更された今の『共通テスト』時代を生きる子供たちに『現代文演習』はこれまで以上に全ての科目においても重要なものになってきていることがご理解いただけると思います。

広島市個別本部 中村耕輔