【公立高校入試 社会は『暗記科目』?】Vol.10

さて、前回は「現代文」についてお話いたしましたが、今回は、受験科目の中でも次に学習時間が少なくなりがちな「社会」についてお話したいと思います。

中学校の勉強において、理科や社会は暗記科目だ、とよく耳にします。いずれも一部で計算問題がありますが、たしかに覚えることが多いのは事実です。では、理科や社会は暗記をすれば公立高校入試で点数を取ることができるのでしょうか。
今回は社会に注目して、暗記だけで入試問題を解くことができるのかどうかを確認していきます。
まず令和2年からの広島県公立高校入試の平均点を確認しましょう。平均点は次の通りです。

  国語 社会 数学 理科 英語
令和5年 26.2 25.8 22.6 25.3 24
令和4年 24.6 23.3 20.2 18.8 20.4
令和3年 21.5 26.5 21.1 24.4 21.1
令和2年 26.5 22 28.2 28.6 23.9

令和4年では理科は一番平均点が低く、令和2年では社会が一番低い科目になっています。平均点が高いときもありますが、他の科目に比べて点数を取りやすいということはないことがわかります。

次に社会の試験内容について、掘り下げて考えてみましょう。社会では地理、歴史、公民それぞれの分野の問題と、これら各分野を組み合わせた総合問題との4つの大問から構成されています。
それぞれ大問では、単純に語句を知っているか否かを問う問題は少なく、資料やグラフを活用して考察し、表現するという問題があります。
例えば、令和5年の第4問では、ある学級の社会科の授業で、地域の伝統的な生活・文化を班ごとに分かれて学習する設定になっており、『そろばん』についてとりあげられています。そこでは江戸時代にそろばんが使われていたことがわかる資料と、学習した生徒のまとめが書いてある資料を見て、江戸時代ではそろばんがどのようなことに使われていたかを考察して記述しなければなりません。正答率は5.8%となっており、令和5年社会科の問題の中で一番正答率が低い問題でした。
また、同じくそろばんに関して、伝統工芸品である兵庫県の播州そろばんについて、生産を継続していく上での問題点等を資料として挙げています。その資料から条件に沿って、播州そろばんの生産を継続していく上での問題点の解決に向けた取り組みの提案を書くことが最終問題になっています。こちらの問題の正答率は29.0%でした。

これらの入試問題は暗記だけでは解くことは難しいでしょう。社会科の勉強をする際には知識の暗記だけで済ませてはいけません。過去問など実戦形式の問題で、資料が複数挙げられている問題を解いて練習をしましょう。また、令和5年の入試では、資源・エネルギーについて発電や貿易に関する問題が出題されており、令和4年の入試ではSDGsについての問題が出題されています。「広島サミット」「AI」「新紙幣」「人口減」「バスケ・WBC・ラグビーなどのスポーツ」「ロシアのウクライナ侵攻」「中東パレスチナ問題」など、今年起こったことをに関心を持ち、テレビニュースや新聞を確認し、問題点から自分の意見を考える練習もしておくことも大切です。

個別指導アクシス己斐校責任者 和田裕貴